第79章

島宮奈々未の意図は明白だった。

示談など、絶対にあり得ない。

そうでなければ、わざわざ警察に突き出したりするはずがないのだ。

山田警部はひどく困惑した顔を見せた。

「島宮さん、私もあなたの名誉を考えてのことです。どうしても法的な手続きを進めたいというのなら、もちろん構いませんが」

「山田警部、お気遣いありがとうございます」

島宮奈々未はどこ吹く風といった様子で淡々と告げた。

「法的手続きでお願いします。今後のことは、私の弁護士に任せますので」

山田警部は言葉を選びながら尋ねた。

「島宮さん、木下さんは今夜の件をご存知なのですか?」

木下逸夫の出方を窺い、自分の立ち位置を決...

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